黒い兄弟〈上〉 (福武文庫)

1995年出版当時、新刊で平積みしてあり、購入しようと思いましたが、なぜか手にとらずそのままとなっており、現在古本店をまわっても置いておらず、インターネットで入手。他者レビューの通り、「ロミオの青い空」の原作本です。アニメは、原作から1年放映分五〇数話分に膨らめられ、毎回の話の抑揚の波もあり、各登場人物（アンジェレッタやアルフレド）のキャラクター設定もメリハリが効いている感じがしますが、原作は、主人公ジョルジョ（ロミオではない・・ピッコロもでてこない・・）の主観や心境が多く主人公から見たその他登場人物の描写となっておる部分が多く、活劇演出要素がトーンダウンしている気がしました。この上巻では、煙突掃除の仕事にも慣れ始め、アルフレドと再会し、結社「黒い兄弟」の仲間入りするところまでです。なんにせよ、国家全体が貧しく、子供が、労働力としか見られていない時代で、社会保障制度も行き届かない時代の子供が犠牲になる悲劇をモチーフとした物語は、いかにも日本人好みのストーリだと思います。下巻で｢黒い兄弟」たちがどう展開するのか・・・！こういうワクワク系でストーリー性の高い物語が、現在絶版で、子供たちに読み継がれないのは、非常に残念な気がします。